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アニメで気になった描写の忘れ形見

『響け!ユーフォニアム』第9話 引き戸と心の境界線

第8話の大吉山、本当によかったよね。うん、僕も堪らなかった。そして続く第9話では大吉山の一件以来彼女らの距離がどう縮まっているかが垣間見れるのがまたいいんだ。
 


 
オーディションを前に弱気になった久美子と居合わせる麗奈。この時の麗奈は既に引き戸の境界線を跨いで楽器室の内側に入っていて、2人がもう互いに心の内側にいる存在であることが端的に表わされている。
これがギクシャクした仲だったりすると、話しかける際に意を決したように引き戸の境界線を跨ぐ描写がありそうなものだけど、この時の彼女らにおいてはそんな前フリはもう必要ないんだよね。
 
 

麗奈「私も頑張るから頑張って…約束」
久美子「うん…頑張る」

お互いの心が反響する押し相撲みたいな流れが足運びにも表れていて、足元を舞う埃がそんな彼女らを祝福するかのように乱反射する。
久美子の口から「麗奈」という下の名前が自然と漏れただけでも胸が苦しくなるのにこれはもう完全に心を殺しに来てるやつなんですよ。
 
 



 
これが逆に久美子が隔たりを感じている姉の場合は廊下と玄関のたたき*1というふうに足場が明確に分かれており、心の壁としてユーフォが2人の間に鎮座する(第3話)
 
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ベタなので他の話数でも教室や電車でこうした境界線・区切りを使った描写はいくつかあったけど、見逃しも多そうだから意識して観返すとまた違った発見があるかもしれない。
 

『響け!ユーフォニアム』第9話「おねがいオーディション」
監督:石原立也 脚本:花田十輝 作画監督:瀬崎利恵 
絵コンテ演出:北之原孝將 シリーズ演出:山田尚子

 
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*1:三和土(靴を脱ぐところ)